【問題】あるプロジェクトで、C社へ初めて発注する。C社に発注するに当たって、下記の3項目についてはすでに確認済みである。これに加えてプロジェクト側で確認すべき事項を、初めての発注であること、および請負契約であることを踏まえて三つあげ、それぞれ50字程度で述べよ。 ①これまでの開発実績、特に今回の開発対象の業務分野および技術分野の実績を確認する。 ②技術者派遣や準委任による作業実績ではなく、請負契約での作業経験、実績を確認する。 ③会社幹部の経営姿勢や品質を重視していることを確認する(例えば、品質に対する社長方針、ISO9000認証など)。 解答 【解答例】 ①開発標準、品質管理方法、レビュー方法など、品質マネジメントの具体的な取り組みについて確認する。 ②開発体制の編成方法、ならびに技法、技術、業務知識に関わる教育など、C社の考え方について確認する。 ③納品物に瑕疵があった場合でも影響が限定的となる部分について、明確な仕様で発注できることを確認する。 ④仕様確認、質問、相談など、開発が開始した以降に生じるC社からの問合せ時期や対応方法について確認する。【解説】 問題の狙い: 準委任契約や派遣契約ではなく、請負契約を初めて行う会社に対して発注するときに確認すべき事項を問う問題である。 請負先企業の実績や経験、品質に対する基本方針に加えて、品質マネジメントに関わる具体的な取り組み内容、開発体制の編成方針や社員教育の方針、リスクマネジメント、コミュニケーションマネジメント、さらにはセキュリティなど、確認すべき観点とその具体的な確認事項をあげられることを問うている。 解答のポイント: リード文中に「請け負ってもらうことにしている」とあることから、すでに C 社は請負先として選定されている。したがって、C 社の財務リスクなどのように、C 社を請負先として選定する前に評価すべき事項については出題の狙いと異なる。また、「請負契約であることを踏まえて」とあることから、発注側に指揮命令権があってはならない。 このように、文章に記載された前提条件を正しく読み取ることが求められる。 その上で、すでに確認済みの事項のほかにどのようなことを確認すべきであるか、品質マネジメントやプロジェクトマネジメントの知識体系などを念頭に置きながら、未確認の領域について具体例をあげていくとよい。さらに、C 社について確認するだけでなく、自分のプロジェクトにおける C 社への発注の仕方にリスクがないか確認する必要がある。解答例③はその一例である。 このように、問題の前提条件を正しく理解した上で、参照すべき知識体系に示された知識領域の幅を考慮し、考慮対象とする主体の違い(C 社、自社)に着目しながら、具体的なキーワードを含めながら解答するとよい。 不十分な解答の特徴の例: ・ すでに確認済みの 3 項目に含まれる内容に関わるものは誤答とした。 ・ 請負契約であるのに、発注側に指揮命令権があることを想定した解答になっているものは誤答とした。 ・ C 社の財務状況に関わるリスクなど、請け負ってもらうことを決める前に検討すべきことは不十分な解答とした。 |
【問題】コーディング規約を定めることの効果とその理由について異なる観点から2つあげ、各25字程度で述べよ。効果と理由の間は『:』で区切って記述すること。 解答 【解答例】 ①保守の観点 コードが読み易い:コード記述が統一されるから コードが理解し易い:コードの属人性が低減されるから ②信頼性の観点 不良が減る:不良リスクの高いコーディングが減るから 再発が防止できる:過去の失敗を規約に反映できるから ③移植性または再利用性の観点 テストし易い:コード記述が統一されているから 再利用し易い:コンパイラへの依存度を下げられるから 【解説】 本問題は、コーディング規約を定めることの効果とその理由について、複数の異なる観点から説明できるかを問う問題である。 組織において、効果的なコーディング規約を定め、規約利用者に周知し、規約活用を推進していくためには、コーディング規約を複数の異なる観点から多面的に捉えておくことが大切である。 多面的に捉えることによって、規約活用の機会を広げたり、組織の状況に応じて規約を適切にテーラリングしたりすることができる。技術の進歩など、組織やプロジェクトを取り巻く状況は常に変化しているので、コーディング規約の内容と適用方法は、適宜見直すことが必要である。 解答には、保守性の観点が多く見られたが、信頼性、移植性、再利用性などの観点も併せて重要である。 特に、組織の過去の失敗をコーディング規約に反映することによって、組織の知識を明示的に蓄積できるので、若年技術者への技術継承に役立つことにも着目して欲しい。また、効果と理由の組み合わせが正しくない解答が一部見受けられた。解答に際しては、記述した理由が効果を正しく説明するものであるかの点検・確認を勧めたい。
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