📌【ChatGPTで品質管理はどこまで可能か？】AI活用の実例と欠陥分析への応用

📌 はじめに｜品質管理にもAIの波が来ている

「品質管理にもAIの波が来ている」
そう感じている方は多いのではないでしょうか。とくに話題の生成AI「ChatGPT」は、開発や教育だけでなく、品質管理の現場でも活用の可能性が広がっています。

ただし、AIに置き換えられるのでは？という不安の声も少なくありません。
本記事では、ChatGPTを品質管理にどう活かせるのかを具体的に紹介し、実際の業務での活用シーンや注意点、さらに欠陥分析への応用までを解説します。

ChatGPTは、自然言語処理を得意とするAIです。人間の言葉を理解し、要約、提案、分析といった作業を支援できます。品質管理の現場でも、特定の用途で大きな力を発揮します。

品質報告書やレビュー記録の作成は、現場担当者にとって時間のかかる業務のひとつです。
ChatGPTを活用すれば、これらの文書のたたき台を数十秒で生成できます。あとは人間が文脈や事実を補完するだけで済み、作業時間を大幅に短縮できます。

新入社員や若手メンバーへの教育も、ChatGPTの得意分野です。
「JCSQE試験の学習方法は？」「ISO9001の基本的な考え方は？」といった質問にも、基本を押さえた説明を自動生成可能。社内FAQや教育資料の下地づくりにも活用できます。

品質関連の議事録や改善会議の記録を読み込ませることで、「よく出てくる課題」「改善の方向性」などを要約・可視化できます。
現場の声をもとに、改善サイクルの質を高める支援が期待されます。

品質管理において欠陥分析は、単なる「過去の振り返り」ではありません。
そこから得られる知見を次のプロセス改善や製品向上にどう活かすかが重要です。

従来の欠陥分析では、ExcelやBIツールを使って定量的な傾向把握（原因区分の集計や影響度の数値化）が主な手法でした。

一方で、ChatGPTが力を発揮するのは「定性分析」です。
たとえば、

といった人間の判断や背景に関する仮説を、多角的に提示することが可能です。

ChatGPTは、過去の不具合報告やレビューコメントを読み込むことで、共通傾向・潜在要因の抽出をサポートします。
これはつまり、「見えないリスクへの気づき」＝先手の欠陥予防につながり、リスクマネジメントの実行力強化にもなります。

ChatGPTは非常に便利なツールですが、品質管理の現場で使う際には注意すべきポイントもいくつかあります。
誤用すれば、正しい判断を誤らせたり、情報漏洩などの重大なリスクを招くおそれもあります。

品質管理では、製品の不具合情報や設計図、顧客対応履歴など、機密性の高い情報を扱います。
これらをそのままChatGPTに入力すると、クラウド上に情報が送信され、漏洩リスクが発生します。

▶対策：事前に情報の匿名化・要約化を行い、社外に出してよい内容だけを使う。社内向けGPT環境の活用も有効です。

ChatGPTはあくまで「言語モデル」であり、正しい情報を保証するものではありません。
とくに品質管理のように「正確さ」が求められる分野では、出力された文章や提案の事実確認・妥当性評価が不可欠です。

▶対策：ChatGPTの出力を参考情報・草案として使い、最終的な判断・承認は人間が行う。

ChatGPTは、現場の背景や文脈を十分に理解しているわけではありません。
例えば、「今回の不具合は前のリリースでも起きていた」などの“過去の経緯”や“開発チームの文化”などは考慮されません。

▶対策：使用時には背景情報を簡潔に伝えるようにし、現場での文脈に合ったプロンプト設計を心がける。

今回は、ChatGPTが品質管理にどう活用できるかを実例とともに紹介しました。
次回は、「では、品質技術者としてAIとどう共存すべきか？」という視点から、AI時代に必要なスキルと、JCSQEスキルの再評価について掘り下げていきます。