【問題】システム動作を確認するためにユーザ環境シミュレーションテストを実施する場合の利点と注意すべき点を各25字程度で述べよ。 解答 【解答】 利点の例 ・実運用環境で起こりうるトラブルや不良を防止する。 ・実運用環境で起こりうる初期不良を未然に防止する。注意すべき点の例 ・実際のシステムとは違いがあることを十分注意しておく。 ・高コストのため、ビジネス影響を考慮して対象を選定する。 【解説】 本問は、ユーザ環境シミュレーションテストの内容・性質を理解しているかを問う問題である。 ユーザ環境シミュレーションテストは、顧客納入前に顧客システムに近いシステムを構築して実施する最終的な試験・検査である。 このテストでは、各種のソフトウェアツール、ハードウェアツール、設備に加えて、必要に応じて顧客の設備、プログラム、データや模擬データを借用して実運用に近い環境で検査を行い、システムの機能、性能、運用性等が要求を満たしているかどうかを確認する。 ユーザ環境シミュレーションテストを実施することにより、社会や顧客ビジネスに大きな影響を与えるシステムのトラブルや初期不良を未然に防止することが可能となり、その結果として社会や顧客からの信頼感が向上することが期待できる。 留意点としては、ハードウェア構成、ソフトウェア構成、ネットワーク環境、データベース、運用、負荷、障害などの観点でできるだけ顧客の実運用に近い環境を実現しなければならないことが挙げられる。また、その上で実際の顧客システムとの違いを明確にして、検査する必要がある。さらに、すべてのシステムに対して、システム検査が必要なわけではないので、社会的影響度、顧客ビジネスへの影響度、システムの新規性、性能要求が厳しいものなど、あらかじめ選定基準を明確にして、システム検査が必要なシステムを漏らさないようにすることが大切である。
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☞■中級ソフトウェア品質技術者資格試験(JCSQE)に合格しました。
【問題】結合テストを終えてシステムテストに入ろうとしている。モジュール当たりの障害(バグ)の密度を測定したところ、モジュールにより測定値が大きくばらついていた。品質の現状を把握するために階層化したい。異なる2つの階層の観点と、それぞれの階層により明らかにできる事柄を各25字程度で述べよ。層別の観点と事柄の間は、『:』で区切って記述すること。 解答 【解答】 規模別:大きなモジュールに障害が集中しているか 規模別:小さなモジュールに障害が集中しているか 開発担当者別:同じプロセスでも担当者能力は異なっているか 開発担当者別:特定の担当者が多くの障害を作り込んでいるか 開発担当者別:熟練者の担当個所は障害が少ないか 障害重大度別:モジュールにより重大な障害が集中しているか 障害原因別:障害が特定の障害原因に集中しているか 機能別:複雑な機能に障害が集中しているか テスト方法別:テストの回数や実行有無が異なっているか テスト担当者別:同じプロセスでも担当者能力は異なっているか テスト担当者別:特定担当者が軽微な障害を多数報告しているか テスト担当者別:熟練者が経験により効率的にテストしているか 【解説】 本問題は、品質を分析・評価するとき、層別という技法を適切に用いうるかを問う問題である。 ばらつく測定情報を手にしたとき、ばらつきの原因を考察することは品質管理の基本である。 QC 七つ道具のひとつである層別技法を、特定の目的のために適切に適用するためには、分析者の観点が決め手になる。 明らかにしたい事柄が異なれば、層別の観点を変えなければいけない。 このとき、ひとつの観点だけではなく、複数の観点によって、得られた情報をもとに多面的に分析を進めることが大切である。 多面的な分析によって、ばらつきに大きく寄与している要因を浮彫りにすることができ、その結果、有効な対策につなげることができる。
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【問題】非ソフトウェア設計において、プロジェクトのメンバーがこれまで経験したことのない新技術に挑戦することとなった。この技術はソフトウェア開発の成否に関わる重要な技術である。もちろん、プロジェクト開始前に中核メンバーの何人かは、この技術研修を受講している。社内にこの技術を経験した技術者もいたが、このプロジェクトには参加できなかった。なお、この技術は数年前によく使われた技術の延長線上にあるが、適用方法を誤ると期待効果が得られない。ソフトウェア設計のレビューにあたって注意すべきことを3つあげ、それぞれ50字程度で述べよ。 解答 【解答】 ①社内の新技術経験者をレビューに参加させ、新技術の特徴や、適用上の注意点などを重点的に確認してもらう。 ②当該技術を過去に適用したときに期待効果が得られなかった原因を調べ、チェック項目として挙げる。 ③既存技術と新技術の違いを調査し、流用可能な既存チェック項目や、新技術に固有のチェック項目を整理する。 ④新技術に精通した社内の技術者がレビューに参加できない場合は、社外の有識者にレビューに協力してもらう。 【解説】 問題の狙い: 既存技術の延長上にある重要な新技術について、社内での技術蓄積が限られており、プロジェクトのメンバーには技術経験がないという状況における設計レビューの留意点を問う問題である。レビュアとして適切な人員を選定し、当該技術を適用する上でのポイントを把握し、社内に蓄積された技術ノウハウを利用するなどして、適切なレビューを実施できる体制を整えることが求められる。そのような観点に受験者の目が向けられているかどうかを判断することが、この問題の狙いである。 解答のポイント: 当該技術はソフトウェア開発の成否に関わる重要な技術であるため、まず、この技術に精通した技術者をレビュアとして選定することが求められる。そのような人材が社内にいない場合は、社外のコンサルティングを受けるなどして適切なレビューが実施できる体制を整えておくことが望ましい。また、既存技術の延長上にある新技術であるため、既存技術と新技術の違いを分析することで、新技術を適用する上でのポイントを洗い出すことも求められる。 不十分な解答の特徴の例: ・レビューの目的を明確にする、レビューの観点を挙げる、早期にレビューを行う、適切なレビュー技法を用いるなど、問題が設定された状況とは無関係に、一般的なレビューの留意点しか挙げられていない。 ・新技術経験者ではない技術者をレビューに参加させて、その技術者のスキル向上や組織内での横展開を図るなど、当該プロジェクトの成否とは関係のない副次的な効果を狙った内容を記述している。 |
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【問題】プロジェクトで新しい技術を使ったとき、それが正しく使われているかを確認するにはレビューが有効である。この目的でレビューを実施するうえでの留意すべき点を2つあげ、それぞれ25字程度で述べよ。 解答 【解答】 ①チーム内で成果物ができたとき、すぐにレビューする。 ②新しい技術を必要とする人をできる限り参加させる。 ③レビューアを見つけることも、レビューの目的とする。 ④新技術を持った技術者がレビューする。 【解説】 レビューでは、成果物の出来や新技術の適合可否を判断することはもちろんのこと、改善のための有益なフィードバックを得ることも重要である。単にレビュープロセスに関する基準(指摘件数や工数など)を満たしているかどうかを判断するだけでは不十分である。 「レビューは、工程の最後、あるいは工程の成果物がある程度完成したときに実施する」ことの実践だけでなく、現場の様々な状況に合わせてレビューを実施することが大切である。 新技術のプロジェクトでは、チームの新技術の習熟不足が原因で失敗するリスクがある。 この状況では、新技術に習熟した技術者をレビューアとしてレビューに参加させることが、もちろん有効である。 しかし、さらに重要な視点はレビューを実施するタイミングである。 できるだけ早い時期にレビューを実施することによって、チームの新技術への習熟状況を見極め、早め早めに必要な対策を打つことがプロジェクトを成功に導くコツである。 新技術の教育の視点からレビューを活用することも重要である。 レビューを通じて新しい技術の習得が期待できるので、新しい技術を必要とする人を、できる限りレビューに参加させることが有効である。 既存技術のプロジェクトに比べてレビュー参加人数は増えることになるが、チームメンバの新技術の習得を加速できる利点は大きい。また、新技術に習熟したレビューアの数は不足しがちなので、組織として良いレビューアを見出すことが欠かせない。新技術のプロジェクトにおける良いレビューアとは、必ずしも長い経験時間を持つ人とは限らない。その人の新技術へのセンスが問われることもある。 レビューを通じて、参加者の中から良いレビューアを見出すことが可能である。 解答の多くが「新技術を持った技術者によるレビュー」という直接的なレビュー効果を求める視点にとどまっていた。 レビュー実施のタイミングやレビューの教育効果などの幅広い視点を持って、新しい技術という状況に対応してほしい。
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【問題】非機能要求を定義するとき、目標設定の観点から曖昧さを避けるための留意点を50字程度で述べよ。 解答【解答】 非機能要求には、直接測定が可能な要求と不可能な要求がある。不可能な場合でも代用特性を見つけ、極力数値化する。 【解説】 本問題は、非機能要求を定義するときの留意点を問う問題である。 非機能要求は機能要求に比べて曖昧になりがちである。 このため、曖昧さを避けるための技法を理解していることが重要である。 曖昧さを避けるためには、できる限り数値化することがポイントである。 非機能要求は、直接測定が可能な要求と不可能な要求がある。 したがって、直接測定が不可能な要求であっても、可能な限り計測可能な代用特性を見つけて、具体的数値を用いて定義することが重要である。 解答には、単に「数値化する」というものが多かった。 非機能的要求には直接測定が不可能なものもあることを考慮に入れて、数値化のために代用特性を見つけることにも言及してほしかった。 |
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【問題】インスペクションの効果について、ウォークスルーと対比させたうえで共通する事柄と異なる事柄をそれぞれ述べよ。(25字程度) 解答 【解答】 [共通する事柄] ・障害を早期に発見し、少ない後戻り工数で改修できる。 ・意見交換により理解を促進しアイデアも得やすい。 [異なる事柄] ・手続きに沿うため欠陥種類や数が人でばらつきにくい。 ・厳密に記録した結果の分析がプロセス改善につながる。【解説】 本問題は、インスペクションとウォークスルーの両技法を対比させた上で、インスペクションの効果について問う問題である。 しかし、意見交換、アイデア交換などのレビューのやり方についての解答にとどまっている答案が多かった。 共通する事柄として、レビューによって障害を早期に発見できれば後戻りが少なくて済むというような本質的な効果について言及してほしかった。 また、インスペクションについては、厳格な手続きもしくは公式な手続きに沿って行うことへの言及にとどまっている答案が多かった。 欠陥種類や欠陥数が人によりばらつくことがインスペクションによって低減されるという効果について言及してほしかった。 |
【問題】過去の類似プロジェクトの全ての不具合情報が蓄積されている。再発防止の視点から具体的な活用方法を、開発済みのプロジェクトおよび将来のプロジェクトについて、それぞれ述べよ。(25字程度) 解答 【解答】 [開発済のプロジェクト] ・潜在している同種または類似のバグを取り除ける。 [将来のプロジェクト] ・組織内のプロジェクトで発見された同種または類似バグを取り除ける。(横展開の視点) ・他プロジェクトのバグ情報を横展開する。(横展開の視点)【解説】 不具合管理の重要性を理解し、不具合情報の利用価値を理解しているかを問う問題である。 開発済みのプロジェクトに対する活用方法として、一つバグが見つかったら同種のバグが潜在しているということを、強く意識して答案に盛り込んでほしかった。 また、将来のプロジェクトに適用する対策の視点が、酷似するプロジェクトにとどまっている答案が多かった。 視野を広げ、組織内への横展開、組織としての対策についても言及してほしかった。 |
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